新国連ビル拡張計画

2003年の初め、国際連合開発協会は、国際連合とニューヨーク市との協議のもと、新国連ビルの設計者を選定する招待コンペをプリツカー賞受賞者を対象として開催した。このプロジェクトは、現在ニューヨーク市内に分散している国連の関連機関を統合することを目的とし、1番街と41から42丁目の間の敷地に計画されている。1945年設立当初、ウォレス・ハリソン、ル・コルビュジェ、オスカー・ニーマイヤー等が率いる建築家国際委員会によって総会場、事務局、会議棟、図書館棟が設計されたが、この新館はそれらに次ぐ五番目の建物となる。このコンペの一等案に我々の計画が選ばれ、設計の依頼を受けた。
この新館は、向かい側に建つ事務局との調和を考慮して36階建てに抑え、オフィスや会議施設、食堂などが設けられている。低層部は敷地面積を最大限に利用し、様々な関連施設を設けている。高層部は、事務局の細長い形態を受け継いで、それをU字型に変形させた独特な平面形を持ち、北側にシンボリックな光庭がつくられている。この光のシャフトによって明るく開放的で、本部の建物群を一望できる快適なオフィス空間が生み出されている。低層部と高層部を繋ぐ階には、カフェテリアやダイニングルームが空中庭園を取り囲むように配置され、公園のような空間を演出している。
国連本部建築群の南端に建つこのシンプルで抽象的な「白い」形態は、マンハッタンから42番街を通して象徴的な眺めをつくり出す。また、イーストリバー越しに望む建築群の緑、黒そして白のコンポジションは、際立つ姿を持つであろう。北側からは、低層部から空へと延びるコの字型に構成された2本の細長いボリュームが、事務局の形態と新旧の調和を生み、国連施設全体の姿を再構成する。

所在地: アメリカ ニューヨーク 
完成年: ----
用途: オフィス
階数: 地上36階
敷地面積: 28,850 sf
建築面積: 25,670 sf
延床面積: 900,000 sf
構造設計: LESLIE E. ROBERTSON ASSOCIATES
■ Notes
設計協力:FXFOWLE ARCHITECTS
設備設計:WSP FLACK + KURTZ
■ 掲載誌
新建築 : 2014.1
Fumihiko Maki(PHAIDON)
新建築:2008.5 別冊 [IN PROGRESS]
■ Awards / Competition
1等 招待コンペ (2003)