敷地は千駄ヶ谷の駅前にあり、その駅側のコーナーには30年ほど前にわれわれが設計を行った津田ホールが建っている。これに隣接して、津田塾大学が都心部の拠点として新たにキャンパスの整備を行うものであり、新たに総合政策学部が創設された。千駄ヶ谷特有の文教的な景観に配慮し、新学部の校舎は3層と5層のコンプレックスで構成され、駅前でありながら高さを抑えたヒューマンスケールのキャンパスとした。そして歩道に沿っては、桜の古木を残しながら厚みのある緑地帯を整備し、緑豊かな街路沿いの風景が展開する。キャンパスの構成は小さなオープンスペースを囲みながら中低層の校舎群が連なり、将来の2期計画へと伸展していく計画である。
内部の構成は3階までの低層部には学生がよく利用する講義室群と図書室、ラーニングコモン、カフェテリアなど、共用のスペースを集約して設けている。これらのスペースは気軽に立ち寄ることのできる開放性を持たせ、学生間の活発なコミュニケーションを引き出そうとするものである。一方、上層の4、5階には研究室、講師室、セミナー室などが置かれ、少し落ち着きのある研究者フロアーが形成される。そして各階に吹き抜けの小ラウンジを設け、層をつなぐパブリックスペースの核としている。
主要構造: |
鉄骨造一部鉄筋コンクリート造 鉄骨鉄筋コンクリート造 |