2010年の春、我々は国際指名設計競技により、豊かな歴史と文化的背景を持つベイルートに建つ国際的な水準のオフィスビルの設計者として選ばれた。ベイルートの伝統的な街並みを受け継ぎ、更にそれを21世紀のオフィスタワーに相応しいものへと変貌させるべく、ここでは建物内を垂直方向に展開する快適な共用空間のネットワークが提案されている。
中東特有の市場の形式である”souk”から着想を得た基壇部には商業施設が配され、その上の水盤レベルがオフィスの共用ロビーとなっている。この水盤によって上のオフィス部分と下の商業部分とが明快に区分されている。
ベイルートの穏やかな冬と暑い夏の気候に対して、ダブルスキンのファサードが通風と自然光をコントロールし、快適なオフィス環境をつくり出している。基壇部の白い花崗岩とオフィス部の白いガラスのファサードとが、周囲のライムストーンで仕上げられた街並みの中で、爽やかでモダンな表情をもって際立つことが期待されている。
構造設計: |
Ove Arup & Partners International / Bureau Rodolphe Mattar |
設備設計: |
Ove Arup & Partners International / Barbanel |